1. |
もう一つ部屋を / One More Room
05:16
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わたしの街の日が落ちて
服の下からこぼれ出す
昼に歌った あの歌が
道を渡って去ってゆく
平らになった夜を背負い
思いつくままやって来る
建てられなかった家々の
ドアの向こうへ潜り込む
心にもう一つ 部屋をつくり
いつも自由に血を流している
ひとのかけらを拾い集めて
見たことのない顔を見ている
わたしは家に帰り着き
この手足に絡みつく
言葉の束をもぎ取って
音を立てずに焼き尽くした
心にもう一つ 部屋があって
佇む影と話をしている
椅子から世界を見下ろして
捨てられないままの答えを聞いている
心にもう一つ 部屋をつくり
いつも自由に血を流している
ひとのかけらを拾い集めて
見たことのない顔を見ている
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2. |
天国の歌 / The Heaven Song
03:25
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敵の心を手に入れた
青い鼠が鳴き交わす
そばへおいでと呼ぶ声が
響く 響く
今夜も狩りへ出かけよう
屋根に上って目を閉じて
途中でやめた一日を
つかむ つかむ
誰よりも早く大人になって
思いどおりの絵を描いて
みんなを黙らせたい
揺れる鬼火を反射した
悲しいマグロの背に乗って
海を旅して天国へ
進む 進む
誰よりも早く子どもになって
ありったけの血を流し
世界と結ばれたい
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3. |
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人々の傘が 売り払われて
規格外の箱に 詰め込まれる
棚を埋め尽くすのは 荒野の瓦礫
棚に並べられるのは 取り上げられた果実
引き裂かれた夕餉が 毛布にくるまって
座り込む場所もなく 蒸発する
家や国の上にある 数字の束は
うどんのように伸ばされて ルーターにつながれる
泥まみれの親の子が円陣を組んで
午前2時のヘリよりも 高く飛び上がる
酒に浮かぶ虫よりも ささやかな声で
沖を走るサメよりも 赤い血の色で
深煎りの悲しみが 飲み尽くされて
アルカリの地層で リツイートされる
敵の居ない悪人は 他人の家で
散らばったクミンシードを かきあつめる
度し難い寒さに 背を丸め
長い睫毛のマネキンが ブルースを歌う
忘れられた姓よりも 背を丸め
ふやけた断面の ニンニクが歌う
人々の親の子が 毛布にくるまって
長い睫毛の地層に 詰め込まれる
敵の居ない虫よりも 高く飛び上がる
棚に並べられるのは ブルースの瓦礫
引き裂かれた傘が 円陣を組んで
午前2時の箱で ブルースを歌う
家や国の上にある ささやかな声で
散らばった断面の ルーターにつながれる
深煎りの寒さが 売り払われて
座り込むマネキンや ニンニクが歌う
酒に浮かぶ悪人は 蒸発する
うどんのように伸ばされて リツイートされる
沖を走る夕餉が 背を丸め
忘れられた姓よりも 背を丸め
ふやけたサメよりも 背を丸め
棚を埋め尽くすのは 赤い血の果実
人々の傘が 売り払われて
規格外の箱に 詰め込まれる
忘れられた悪人は 背を丸め
散らばった傘が ブルースにつながれる
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4. |
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あれは獣の声だ
屋根の真上で踊る
もう一度だけ目覚めて
濡れた道を戻る
今日も頭の中で
みじめなボートを漕げば
忘れられた岸辺で
惨い花火があがる
一日を つかまえて
逃がさずに つないでおけばいい
あれが今日のわたしだ
弱い手足の夜だ
静まらない心で
濡れた道を歩く
滝壺に 落ちてゆく
優しさを 眺めていればいい
終わりかかった町に
甘い魔法をかけて
通り過ぎる思い出に
嘘の町を作る
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7e.p. 東京都, Japan
Tokyo based independent label since 2002
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